はじめに

これは、夫婦でアパラチアン・トレイルを歩いた日記です。 期間は、2016年の4/8から、9/29までの175日間。歩く、食う、寝るだけの、たんたんとした日々の記録です。 記事の日付が、実際に歩いた日付になっています。月間アーカイブを使ってよんでください。

その175

夜中、目覚める。想いにふける。黄金餅、後生うなぎを聴く。明け方、目覚める。のらさんとわたしの間に冷たい空気がある。のらさんにくっつこうとするとマットのすき間に落ちる。目覚ましで起きる。テントのなかで、食パンに落花生バターをぬったものとチー…

その174

夜中、目覚める。雨の音がする。のらさんが外に干してあった手袋を取りに行く。わたしは小便に行く。のどが渇いている。水をのむ。バラカンさんのラジオ番組を聴く。キネシオテープがかゆい。靴下を半分脱ぐ。ぽりぽりとかく。かき続ける。あつい。ダウンパ…

その173

夜中、目が覚めて雨が降っている音を聴く。明け方、目が覚めて雨が降っている。起きる。気温は低くはない。着替え、テントのなかで栄養いっぱいのお菓子を食べる。のらさんは穴を掘りに行きたいが、行かずに食べる。食べた後、のらさんは穴を掘って出す。テ…

その172

夜中目覚め、目が冴える。居残り佐平次、らくだ、親子酒。風が、木々の上の方でごうごうと音を立てていてよく聴こえない。テントのまわりは無風。気温も下がらない。ぬくぬくしている。起きる。のらさんは「明け方になるにつれて寒くなった」と言う。テント…

その171

夜中、目覚めては眠り、目覚めては眠る。木々がこすり合ってきゅるきゅると鳴る。昨日よりは足もとが冷えない。明け方、起きる。着替え、荷をまとめ、栄養いっぱいのお菓子を食べる。テントをたたむ。歩く。青空が見えている。日が昇りはじめている。寒い。…

その170

なめくじと蛇とヒルに襲われる夢を見て、眠りながら足をばたばたしてのらさんをけりとばす。その後眠れなくなって志ん生。たいへんな寒さ、のらさんに体をくっつけたり、足をからめたりする。2人の間にすき間があると寒い。しかしくっつくとマットのすき間に…

その169

夜中、目覚める。小雨が降っている。眠りかかったが小便に行く夢を見て目が覚めたので、小便にいく。目覚める。小雨がぽつぽつと降っている。誰かが出発する足音がする。食料袋はなかまでびっしょり。1つ1つ取り出してタオルでふく。テントのなかで栄養い…

その168

明け方、目覚める。少し寒い。のらさんにひっつく。ひっつくとマットのすき間に落ちる。空が明るくなりつつある。起きる。のらさんが便所ついでに食料袋を降ろして来る。テント内で栄養いっぱいのお菓子を食べる。ぽろぽろとこぼす。テントとシートを広げて…

その167

夜中、目覚める。たいへんな尿意。部屋を出て、階段を降り、建物を出て、その裏で用を足す。部屋に戻るとむっとする暑さ。体じゅうがひからびている。また目覚め、今度は大の方ももよおしているので別の建物まで行き、しばらくじっと便器に座っている。部屋…

その166

ぐっすり眠る。明け方、まどろむ。目覚ましが鳴り、起きる。テントの中で栄養を食べる。のらさんが穴を掘って出し、その後わたしが出す。テントをたたむ。歩きはじめる頃、森が明るくなりはじめる。登り、平坦な森、木の根、池。ぽつぽつと雨が降る。のらさ…

その165

夜中目覚め、眠り、目覚める。おばけ長屋、厩火事、強情灸、親子酒、妾馬、替り目、しじみ売り、うなぎの幇間を聴く。雨が静かに降って止む。起きる。吊るした袋を慎重におろす。足もとが滑るので。テントの中で栄養いっぱいのお菓子を食べる。ぬれたテント…

その164

夜中、目覚めて志ん生を流す。すぐ眠る(最近は決まって「黄金餅」と流すが、聴けたためしがない)。また目覚め、雨の降る音を聞く。普通に降っている感じだが、テントにはそれほど落ちてこない。のらさんも目覚めていて雨音を聞く。目覚める。のらさんが気持…

その163

真っ暗なうちに目が覚め、まどろむ。空が青くなってくる。起きる。昨日ほど低くなく、結露も少ない。テント内で栄養いっぱいのお菓子を食べる。テントをたたむ。ビーチで顔を洗い、水を汲む。水面のすぐ上空は霧で真っ白。シェルパさんたち何人かのハイカー…

その162

朝までぐっすりと眠る。目覚め、寒い。のらさんにくっつく。マットが離れるのでくっつきにくい。なかなか寝袋から出られない。テント内は結露でびっしょり。ぬらしたくないもの、寝袋、ダウンジャケット、マットなどをしまう。テント内で栄養いっぱいのお菓…

その161

起きる。のらさんはすでに起きていて、コンビニエンスストアに行ってコーヒーとドーナツを楽しんだと言う。あまり眠れなかった、いびきと外灯と車の音のせいで、と言う。便所で出す。快便、大量。一緒にコンビニエンスストアに行き、外のテーブルでコーヒー(…

その160

夜中目覚めるものの、よく眠る。目覚ましで目覚め、起きる。気温は低くなく、結露も少ない。薄暗いなか、テントの中で栄養いっぱいのお菓子を食べる。チョコレート落花生バター味。「きなこ棒のようだ」テントをたたみ、歩く。登り坂。水場がいくつかあるが…

その159

ぐっすりと眠り、目覚め、起きる。わたしのウールのティーシャツ生乾き。のらさんが乾燥機にかけてくれる。朝めし。居間のテーブルで玉ねぎパン、マフィン(フレンチトースト味)、ヨーグルト、ゆで卵を食べる。コーヒーを飲む。2人とも、便所に行って出す。荷…

その158

夜中、目覚めてそのまま眠れなくなる。明け方目覚ましが鳴り、起きる。真っ暗。気温が低い。着替え、テントの中で栄養いっぱいのお菓子を食べる。テントをたたみ、出発準備が出来たところで、空がうっすらと明るくなる。厚ウール、ウィンドジャケ、手袋、帽…

その157

夜、寝つき悪し。段々と暑くなってきてダウン上下、ウィンドジャケットと靴下を脱ぐ。志ん生のたいこ腹、まんじゅうこわい、付き馬。雨が降って止む。のらさんは寝袋から出ている。わたしは出ない。夜更け、鐘の音(でかい)を聞く。そのあとはたぶん聞かない…

その156

明け方、やくざからピストルを買う夢を見る。目覚ましで起きる。テントを乾かしつつ(中がぬれている)、栄養いっぱいのお菓子を食べる。テントをたたむ。便所で出す。 歩く。ちょっとの間登り、そのあとゆるやかな下りが続く。この辺の山の中域は倒木と生い茂…

その155

夜中、雨が降る音を聴く。暑い。厚手ウールとウィンドジャケットと靴下を脱ぐ(寝ている時暑いと、閉所的恐怖に襲われる)。たびたび目覚めるが落語をかけてすぐ眠る。目覚ましが鳴るが「寝よう」と言ってすぐ寝てしまう。 起きる。となりのテントの人たちは…

その154

夜中、寒くない。ダウンを脱ぐ。ぐっすりと眠る。目覚ましで起きる。真っ暗。着替え、荷をまとめ、テントをたたむ。トレイルの真ん中で栄養いっぱいのお菓子を食べる。とりあえず人に迷惑をかけなかったことに安堵する。 歩く。夜は明けかかっている。東の空…

その153

夜中、腹がむしむし痛むものの、ほとんどの時間をぐっすりと眠る。いつも食べている即席煮込みめしを粉にして練っている夢を見ていて、目覚ましが鳴っても気付かない。 起きる。シャワーを浴びる。「こっちの石けんはぬるぬるしてなかなか落ちない」と言うと…

その152

夜中、たびたび目覚める。お腹が痛い。何度か便所に行く。壊れてはいないがむしむしと痛い。気持ち悪く、吐き気がする。お腹は働いていて、ごろごろと鳴っている。イヤホンでラジオを聴く。 起きる。朝食はほとんどあきらめていたが、直前に便所で大量に出し…

その151

夜、ラジオでバラカンさんを聴く。安兵衛狐を流す。その後は無音。断片的な考え事。明け方まで一睡も出来ず。目覚め、起きる。「眠れないのはコーヒーかもしれない。町におりてもコーヒーは飲まない」とわたしは宣言する。のらさんは足の調子が良くなったと…

その150

夜中、何度か目覚めるものの、志ん生をかけてすぐに眠る。明け方目覚め、まどろむ。久し振りにまともに眠った気分。 起きる。テントのなかで栄養いっぱいのお菓子を食べる。テントをたたむ。苔を掘りかえして穴を掘って出す。のらさんの赤くなっている足の裏…

その149

夜中、目覚める。志ん生を流しては眠り、目覚め、流しては眠る。まどろんでいる時間が長い。足もとが寒い。地面はななめでのらさんの方に転がる。のらさんにくっつく。明け方、眠る。目覚ましで起きる。東の空が赤い。テントのなかで栄養いっぱいのお菓子を…

その148

夜中、目覚める。眠れなくなる。品川心中、文違い、居残り佐平次、らくだ、厩火事、中村仲蔵を聴く。眠り、目覚ましで起きる。荷をまとめ、テントを乾かしつつ、テント内で栄養いっぱいのお菓子を食べる。徐々に空は明るくなるが霧で白い。厚いウールの長袖…

その147

二度ほど一瞬眠る。その後完全に目覚める。のらさんも眠れず。ラジオ番組を聴く。志ん生をかけるとのらさんはすぐ眠る。大工調べ、鮑のし、天狗裁き、らくだ。遠くから、ごおーっという音がだんだんと近づいてきて、やがてざあざあと雨が降る。止む。靴下は…