その167

夜中、目覚める。たいへんな尿意。部屋を出て、階段を降り、建物を出て、その裏で用を足す。部屋に戻るとむっとする暑さ。体じゅうがひからびている。また目覚め、今度は大の方ももよおしているので別の建物まで行き、しばらくじっと便器に座っている。部屋に戻る。足と腕の関節と筋肉がみしみしと痛く、足に力が入らないので歩くのがつらい。水をごくごくと飲む。

しばらく眠れずにじっとしている。目覚ましで起きる。のらさんが「眠れなかった」と言う。わたしと入れ違いに眠れなくて苦しんだようである。

本館に行き、ポーチでコーヒーを飲む。ポーターさんが来て、シェルパさんは高熱でダウンしていると言う。食卓につく。ポーターさんのとなり。他にシューレザーさん、昨日車に乗せてくれたとなりの宿のおばさん。おばさんは「これから先はみんな急いで行ってしまうけど、じっくり楽しんだ方がいい」と言う。

朝食は目玉焼き(3つ)、カリカリベーコン、じゃがいもをオーブンで焼いてそのあと炒めたもの。そのあとにパンケーキ、オレンジジュース。パンケーキはケルンのように皿に盛られたもの。そのほとんどをわたしが食べる。腹いっぱい、満足。コーヒーはなんとか2杯にとどめる。宿のおじさんがコーヒーをつぎにまわってくるのを「ありがとう。結構です」と断る。便所で出す。

荷物を部屋から出し、支払いを済ませる。ブログの記事を書く。モグラ君、パンケーキさんを見送る。商店で食料の買い出し。バンダナ君、万華鏡さんに会う。コンビニでさらに買い出し。郵便局前でキャプテンプラネット君に会う。宿で炭酸水を飲み、のらさんはマフィンを食べる。アバロンさんが来る。バンダナ君を見送る。

食堂で昼めし。5つ星さんがいる。でかサイズのハンバーガーとじゃがいも。のらさんの方にはピクルスが入っていないので一切れあげる。ハンバーガーの肉汁と油で手をべとべとにする。肉は半生。牛乳を飲む。後からやってきたアバロンさんと抱き合って別れを告げる。

宿に戻り、外の水道で水を汲み、送迎の車に乗り込む。トレイルの入口に着く。荷物がずっしりと重い。これほど大量の食料を担ぐのはしばらくぶり。よたよたと歩く。着地した時の足にかかる重みの感覚がいつもと違う。

のらさんは町で休むと足がむくんでしまう。今日もむくんでいて歩くと痛いと言う。「歩き続けないとダメな体になってしまったのかも」わたしも足がむくんでいて土踏まずのアーチが痛い。関節痛と筋肉痛がとれない。これは昨日の飲み過ぎのせい。「アルコールはコーヒーよりひかえないとダメだな。ハイキングに二日酔いは似合わないな」

左手にしんとした雰囲気の池。木の根とごつごつ岩とすべすべの禿岩まじりの森を越えると今度は右手に池。もよおして穴を掘って出すが、半分は屁。その後も腹のなかで空気がごぼごぼと音を立て続け、屁が出続ける。たまにゲップが出て、満腹感がやわらぐ。

小屋で休む。野獣さんとミシシッピさんがいて、焚き火をしている。何本かの太い木にはもうすでに火がまわっていて勢いよく燃えているのに、その上にがんがん焚き木を放り込む。その様子をじっと眺める。便所で出そうとするが不発。屁ばかり。

わたしは道を見つけるのに苦労し、たびたび間違った道に進む。風が段々と強くなってきて、木々の上の方がざわざわと音を立てる。「この風が冷たい空気を運んでくるか、またはこの風が冷たい空気そのものになるかして、今晩は寒くなるかもしれない」と話す。木の根の道の途中で座って休み、しばらくのんびりと座っている。のらさんはちょっと疲れてペースが上がらない。

角のするどい形状の黒い石がごろごろしている。その間を川が流れていて、その脇のテント場にテントを張る。転がっていた鋭利な石にロープをくくりつけて投げていたら、ロープが切れてしまう。その間にのらさんがマットをふくらまし、川で水を汲む。焚き火跡があったので火をおこす。すでにちょっと燃えた跡がある太い木を2本、他に中くらいの木が何本か、あとは細い枝。小さな焚き火。木は乾いていてすぐに火がつく。

シューレザーさんが近くにテントを張り、食事をする。彼はポットに沸かした湯のなかに焼きそばを入れ、じゃがいもを入れ、一緒に食べている。わたしたちはじゃがいもと、チェダーチーズブロッコリー味ご飯(乾燥野菜、大豆ミート入り)を食べる。のらさんはその最中にもよおすが不発。その間のらさんのためにご飯を残して待つ。太い木を2本を残して、他の木はすべ灰になる。

重たい食料袋を木にぶら下げる。テントに入り、日記を書く。気温は下がらない。水が流れるちゃぷちゃぷという音がいつまでも聞こえる。日記を書いている最中にのらさんは眠る。懐中電灯の電池が切れる。放っておいたら、さわってないのに勝手につく。混乱しているようである。しばらくするとまた消えてしまう。