その151

夜、ラジオでバラカンさんを聴く。安兵衛狐を流す。その後は無音。断片的な考え事。明け方まで一睡も出来ず。

目覚め、起きる。「眠れないのはコーヒーかもしれない。町におりてもコーヒーは飲まない」とわたしは宣言する。のらさんは足の調子が良くなったと言う。テントのなかで栄養いっぱいのお菓子を食べる。わたしが「夜中に腹が減って仕方がなかった」と言うと、のらさんがお菓子を少しくれる。

さわやかな森のなかを歩く。うすく霧がかかっている。すこし寒いのでフードをかぶったまま。

舗装路に出る。舗装路沿いの宿に入る。荷物はガレージに置き、ガレージで汚い服を脱がされ、宿の古着を着る。ジャージとTシャツとトレーナー。ぶかぶかで珍妙な格好。シャワー室に案内される。体が汚いままではチェックインできない仕組み。洗濯も宿の人がしてくれる。
シャワー室が2つ並んでいてのらさんと一緒に裸になりそれぞれシャワーを浴びる。シャンプーで髪を洗ってもごわごわが取れないので3度くらい洗う。体もよくよく洗う。あんまり長い間浴びていたせいかお湯がぬるくなる。綿棒があったので耳のそうじをする。歩きだしてから初めて。思ったほど汚れてはいない。

居間に戻ると、宿の朝食の余りを食べさせてくれる。じゃがいもハンバーグ、ソーセージ、マフィン、オレンジジュース、のらさんはコーヒーを飲む。わたしは一瞬くじけそうになるが、がんばって飲まない。緑茶を飲む。ハイカー箱から乾燥バナナ、脱脂大豆のようなもの(お湯で戻して使う。そのまま食べたら麩のようだった)をもらう。

のらさんがアーカンソーさんからのメールを読んでいると、アーカンソーさんが居間に入ってきたので、抱き合って喜ぶ。アーカンソーさんは昨日町にある宿に泊まり、今日はこちらに泊まり、明日歩きだすとのこと。

わたしたちと一緒に旅する箱を受け取る。整理。この箱は次は最終地点に送ってしまう。日本に持ち帰らないと思われるものはハイカー箱に入れる。

部屋に入る。木製のベッドが2つ、かわいい部屋。トイレとシャワーがついている。アマゾンで買ったのらさんの新しい靴を試す。底が厚く、岩のつき上げがの不安が軽くなる。サイズ感も良し。通気性がなくならないかが不安。

宿の車で町に降りる。アーカンソーさん、タオさん、ホワイツの1泊目のシェルターで一緒だったおじさんと同乗。タオさんは歩き方が荒々しく、新しい靴を3週間でダメにしたと言った。
中華の食べ放題のお店。野菜と肉の炒めもの。いんげん、玉ねぎ、ピーマン、ブロッコリーと豚肉、鶏肉。トマトと卵のスープ。揚げた豚肉を落花生バターで和えたもの。ケーキ、アイス、揚げパン。2人とも苦しくなる。わたしはトイレに入って出す。

そろそろとすり足で車道を歩く。お腹が痛くなって図書館に駆け込もうとするが祝日で閉まっている。他の店も軒並み閉まっている。レストランでトイレを借りて出す。金物屋のまえで迎えの車を待つ。
宿に戻ると洗濯が終わっている。のらさんの靴下が片方ないので探す。のらさんは庭で荷物を干し、わたしは部屋で日記を撮影する。半日分の日記を書く。わたしは寝不足で目がとろんとしているので少し眠ろうと思ってベッドに横になるが、眠れない。鼻毛を切る。カッパを水で洗う。

スーパーマーケットへ食料の買い出し。宿の人が送迎してくれる。しかし「買い物の時間は30分」と言う。わたしたちの他に4人ハイカーが乗り込む。今日の晩めし、5日間の食料、遠くの町に送り付ける食料を買うつもりだったが30分ではそんな余裕はなく、送る分はあきらめる。二手に分かれて手早く調達する。レジが混んでいるのを見越して早めに会計を済ませる。わたしはノートとボールペン、のらさんはドーナツを買う。

集合の予定地に行くと誰もいない。宿の人もいない。ベンチでドーナツを食べる。
宿の人が来て一緒に揚げじゃがいもを食べる。だいぶ時間がたってから全員そろって宿に戻る。居間は混んでいるので部屋で夕食。薄平パン巻き。具はアボカド、ケール、ホウレンソウ、山羊の乳チーズ、七面鳥ハム。牛乳。腹いっぱい食べた後にさらにクッキー。2リットルの牛乳を全部飲んでしまう。

メールとインターネットで久し振りに目が疲れる。のらさんが足の裏にラベンダーをぬり、わたしの足首にもぬってくれる。ベッドに入ってもお腹いっぱい。