その24

夜中、たまに目覚めて雨の音を聴く。
起きる。雨が降っているので火を使うのをやめて、バナナとチョコレート菓子を食べる。

出発する。セバスチャン君達はまだ寝ている。

歩く。水を汲む。雨が止み、カッパを脱ぐ。雨が降り始めてカッパを着てまたすぐに止む。

蛍光のオレンジ色の、いもりのような生き物。手足がヒトデのような形をしている。のらさんが持ち上げたところを写真に撮る。黄色いマフラーを首に巻いたような模様の黒い蜂が、重い体を持ち上げるようにして花の周りを飛んでいる。

クッキーを食べる。「クッキーとビスケットの違いって何?クラッカーは?」「クラッカーは薄くて甘くない。ビスケットは甘くて固いもの。クッキーはバターがたくさん入ってるのが多いけど、誰がどんな風にでも作っていいもの」「ぜんぶ小麦粉で作るんだな。小麦粉はえらい。家に帰ったら小麦を育てよう」
 
山頂あたりで草原が広がっているところに出る。あたり一帯は霧で真っ白で何も見えない。なので正確には草原が広がっているのかどうかすら分からない。強風にあおられながら、真っ白のなかを長い間歩く。
 
湿度が高いせいなのか、それともカッパを着ていて足さばきが悪いせいなのか、ふたりともペースが上がらない。気持ち良く歩けない。
 
薄平パンにナッツココアの塗りものをたっぷり塗ったものと、あら塩ビスケットとりんごを食べる。
 
長い登り坂と長い下り坂、そのあときつい登り坂。休憩する。荷物の重さで肩がこたえている。「腕を上にあげようと思ってもあがらないよ」とのらさんが言う。肩が固まってしまっているのだ。

あら塩ビスケットをナッツココアの塗りものの中に突っ込んで食べる。食べ始めたら止まらなくなって、ふたりでいつまでもぼりぼりと食べ続ける。

山の上のほうから流れてきている水を汲む。小屋脇のキャンプ場に着く。人が多く、10張以上のテントが張られている。キャンプ場の一番奥の、一番高いところにテントを張る。ツナ入りじゃがいもと生姜ごはんを食べる。生姜ごはんを煮込んでいたら鍋底が真っ黒に焦げた。そのまま湯を沸かし焦がし風味のコーヒーを飲む。
 
セバスチャン君達が来たのでまた一緒に食料袋を吊り下げようとしてまた重すぎてロープを引っ張れない。彼らは今朝10時まで寝ていたと言う(私たちは7時起き)。「明日は町に下りて食べ放題のピザ屋に行くから朝7時に起きるぞ」とうれしそうに言った。